最高裁判所第三小法廷 昭和23年(れ)387号 判決 1948年7月13日
主文
本件上告を棄却する。
理由
本件再上告は、昭和二十三年三月六日東京高等裁判所が上告審として言渡した上告棄却の判決に對し、日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律第十七條に基いて申立てられたものであるが、同條の上告も刑事訴訟法にいわゆる上告に該當するから、その申立期間は同法第四百十八條により五日である。しかるに被告人及びその辯護人世良田進提出の再上告申請と題する書面によると、東京高等裁判所は該書面を昭和二十三年三月二十七日受付けた旨の受附印が押してあるので、本件再上告は、上告權消滅後に申立られたものと認めるのほかはない。してみれば本件再上告は不適法であるから、同辯護人提出の上告趣意書記載の論旨に對する判斷をするまでもなく、刑事訴訟法第四百四十五條に從ひ、これを棄却すべきものとし、主文の通り判決する。
この判決は裁判官全員の一致した意見によるものである。
(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)